これで飯野、どうでも飯野。

毒親・女子校育ちの24歳。もうすぐ無職。麦酒を片手に好き勝手書きます。

オデッセイはもういない

死にたい、よりも、死ななければならない、という意識になりつつある日。
生きていてよかったと思うことよりも、生まれてこなかったほうがよかったんじゃないかって思うことの方がだいぶ多い。

幼い頃、親に連れられてよく、水子供養に行った。小さいお地蔵さんがたくさんいるような場所。「ここは、生まれてこられなかった子たちの場所なのよ。あなたは無事に生まれてきたんだから感謝なさい」と言われた。
わたしの親は、半年ぐらいわたしを見つけてくれなかったからね。それでも子どもが健康に生まれてきたことに感謝するのは親であって、わたしが感謝すべきことなのかなって思ったりしたんだけど、お菓子やおもちゃがお供えしてあるその場所は、とっても悲しかった。

昨日、電車のなかで、幼稚園に入るか入らないかぐらいの女の子が、お母さんの膝に乗せられて座っていた。ぷっくりした手のひらと膝小僧と。ぷにっと垂れたほっぺた。ベビーベッドで寝る妹の姿を、ずーっと飽きずに見ていた頃を思い出した。絵本を読んであげたら妹が寝てしまって怒ったことも、保育園で妹にちょっかいかけた年上の男子を怒鳴りながら追いかけまわしたことも。この子も、そうやって大きくなっていくんだなあって、ほんわかあったかい気持ちで見ていたのに、そこでズキンズキンと自分の胸が痛み出した。

母親に掃除機の柄で背中を何度も殴られて、髪の毛引っ掴んで床を引きずられて三和土に放り出されて、庖丁突きつけられて「あんたなんかいない方がまし、もう二度と顔も見たくない、声も聞きたくないから泣くんじゃない、近所迷惑だ」って、頭からバケツの水ぶっかけられて血と涙と鼻水がどろどろになって、暗くて寒くて、父親が帰ってくるのをずっと待っているわたしの姿が脳裏に浮かんで。
「家を出るなら服は脱ぎなさい、私が買ったんだから。ほら、早く脱ぐ。全部置いていきなさい」って言われて、脱がされて庭先に出されて、誰かに見つかったらはずかしいから泣けなくて、ただひたすら小声で入れてください、家の中に入れてください、謝りますから許してください、何でも言うこと聞くので家に置いてください、って言い続けて、全身が痣だらけで痛くて痛くて、泣きすぎて意識が朦朧として、そう、その朦朧とした意識でわたしはいつも夢を見ていた。
お医者さんと看護婦さんが「もう大丈夫だよ、どこも痛くないからね」って、身体の怪我を全部治してくれて、あったかいごはんを食べさせてくれて、お風呂に入れてくれるんだ。わたしを苦しめる存在は何もない。生きていていいんだよ、って言ってくれる世界があった。

あの頃は大人になったら自分の力で生きていくんだ、今よりきっといいことがある、だからそれまではどうにか生き延びなくてはと思って、何があっても大丈夫だって、いつか自由になれるからそれまでがんばろうって耐えていたのに。
ごめんね。こんなおとなになって。死にたいって思うたび、あの頃の自分に申し訳なくなる。助けられない。そんなにがんばらなくていいよ、そのまま殺されちゃった方が楽だよって言ってしまいそうになる。

もうあの夢は見ない。誰もいないのだ。

電波オデッセイ 全3巻 完結セット

電波オデッセイ 全3巻 完結セット